いまや団塊世代が続々と職場を離れ新たな旅立ちの時間を迎えて、リタイア後の自由な時間を使って車旅を楽しむグレイノマドの増殖はますます加速しています。ところがグレイノマドの多くは長期の旅ゆえにパック旅行の観光客のような豪華な旅行は快しとしません。同じ旅行資金なら無駄なく使ってより長い旅を楽しむためです。このノマドですが、実は観光地に落とす金額がパック旅行の観光客をしのぐ最大のお客さんになっていて、ノマド旅行が日本を救うといっても過言ではないのです。一部観光業者のなかには、このグレイノマドはケチな観光客で地元の利益につながらないという見方がありますが、そうとはいえません。
観光産業というと旅館やホテルを思い起こす人が多いのですが、実際にはみやげ物のお菓子メーカーから観光客の車に燃料を供給するガソリンスタンド、レストランに食材を供給する農家まで広がる裾野の広い産業なんですよ。観光産業の定義にもよりますが、広義の観光産業は多くの地方自治体でも最大の産業といわれています。そして、今や世界の国が観光立国を目指しています。
グレイノマドはホテルのような宿泊施設にはあまりお金を落とさないですが、生活費のほとんどを旅に使うのですから、コンビニやレストラン、日帰り温泉など、広義の観光産業にたっぷりとお金を落としています。少なくとも月に1人あたり10万円前後を生活費として消費していることになります。